研究課題の要旨(動機、ねらい、目的等)


沿岸部に住む人々は鉄錆に悩まされている。身近なところでは家庭のトタン屋根や自動車のボディー、灯油タンクなどの鉄でできているものが内陸部よりも錆の進行が速く、短寿命となっている。また、社会に目を転ずれば公共インフラも同様に短寿命や防錆保守の増大が問題となってきている。これらは潮風が原因で、海水ミストに含まれるNa+やCl-などの電解質が水と空気の存在下で鉄Feと酸素(原子)Oを結びつけると考えられている。しかし、電解質や環境の因子において、影響の大きさや反応機構の詳細については必ずしも明らかにはなっていない。そこで、私たちはこれらの因子や条件を明らかにしたいという動機を持ち、本研究を行うこととした。
自然界における塩害の環境再現として、鉄に電解質水溶液を添加し空気酸化させて鉄が錆びやすい条件を発見したいと考えている。
研究方法については昨年までの実験を基に、以下の2点を基本として検討する。

a) 鉄粉に各種電解質水溶液を添加し化学カイロの構造をモデルとした酸化反応熱を検討。
b) 20分の計測の前後の質量の差から質量増加量を求めて錆の量を評価する。

以上の観点で鉄に添加する各種電解質溶液の種類や濃度、添加量を変化させて実験を進める方針である。
鉄が錆びる条件を発見し、そのメカニズムを明らかにすることで、鉄が錆びないようにする方法を見出したいと考えている。

研究を行っている様子です
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